サン・フェリペ・サンチャゴ村の刺繍布

数年ほど前から、メキシコ市のボデガオアハカサンナンヘルなどの高級バザールで見かけてはいたものの、そのお値段に「次にはお金貯めて購入しよう!」と心に決め憧れていた民芸品がありました。

それが「サン・フェリペ・サンチャゴ村」の毛織物の刺繍布です。

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サン・フェリペ・サンチャゴ村トルーカ市から更に車で1時間、調べてもらったメキシコ人からは「本当にそんな奥地まで行くんですか?」と言われたほどですが、東京からさいたま市へ、そこから秩父へ行く、そんな行程を想像していただければよいかと思います。

トルーカ市(標高2680m)は、メキシコ州Edo.de Mexicoの州都。メキシコ市(標高2240m)から車で1時間、更に標高が高いネバダデトルーカという雪を頂く山々に囲まれている美しい町です。

わたしの現在住んでいるさいたま市(旧浦和)とは姉妹都市で、そしてメキシコ州は埼玉県と姉妹都市(提携30周年)提携を結んでいるので、埼玉県ではメキシコ人留学生などに逢うことも多いです。

メキシコで一番暑いといわれている3月〜5月ですが、この季節にしては標高も高いので寒いと聞きジャンパーを持参しましたが照りつける日差しと乾燥した空気で、メキシコ市とほぼ変わらず25度前後だったように思いました。

トルーカは、かつて父・島田正治が描いたことのあるその町の名前の通り風光明媚な町バイエデブラボーValle de bravoやミチョワカン州モレリアへの入口でもあります。

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トルーカは標高が「やや高い所」という認識はあったのですが、探していた民芸品を求めて山奥へ、いくつかの山越えをしているうちにひどい頭痛を感じました。

同行してくれたホームステイの家族は必至でその民芸品の村を探し訪ねてくれたのですが、村人はみな町へ商品を売りに行っているということで結局は村の女性たちの制作現場を見ることはできませんでしたが、山を下りてきてようやく、市内にあるトルーカ市民芸館にて作品に巡り合うことができました。

山を周っている時、アラべ(アラブ)のタぺストリ工房があり、他にもいくつか民芸の村々が点在しているということがわかりました。石垣の門にはタぺストリがはためいていたのでわかりましたが、ともすると見過ごしてしまいそうな小さな入口なのに作品は驚くほど高額で、しかも大作ばかり。お金の用意があるなしでなくてこれは飛行機では持って帰れない、日本で購入したほうが割安かなと思いました。

この間、とても素晴らしい景色のマゲイ(竜舌蘭)の段々畑の間などを走ったのですがあまりの頭痛でボーっとしていて写真を撮りそびれてしまいました、とても残念です。

(旅行を終える頃になってから高山病だったということがわかりました)

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かつて、これらの村々ではトウモロコシ栽培を中心とした農業を行っていましたが、25年前当時のトルーカ民芸館館長の提案で女性たちが家内工業として刺繍を手掛けるようになったとのことです。

今でも家々の庭先には、黄色や白黒の色々なトウモロコシが乾燥箱に積まれニワトリが広い土地の中を走り回っていました。トウモロコシが原料のトルティーヤ製造工場もあちらこちらにあり、トウモロコシは刺繍のモチーフにもなっています。

メキシコ市に戻り、ようやく見つけた刺繍布を見せてメキシコ人に自慢すると「ああこれなら知っている、見たことあるよ」と言うのですが、インディオの女性たちがよくメルカードで制作したりしているのでオリジナルがサン・フェリペ・サンチャゴ村であることを知らなかったとのことです。

メキシコ民芸品は安価なイメージがありますが、藁などを取り除いてから毛糸を紡いで刺繍を施してゆくこの作品は、忍耐と時間を要しますから値段も相応にします。

綿の刺繍布は鍵付きのガラスケースに飾られていたほどです。中国のスワトウ刺繍のようですね。

わたしもようやく出会えた素敵な刺繍作品に、これからも継続して購入(値切れません!)みなさまご紹介し、村の人々に微力ではありますが貢献していけたらと考えています。sol(9月15日)

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△トウモロコシのモチーフ 220x43cm(素材ウール)15700円