梅エキス

梅雨の晴間の日に、裏庭にある梅の木の実を60個ほど収穫しました。お隣の方から手作りのアンズジャムをいただいたので、わたしも梅ジャム作りに挑戦してみようと思ったのです。

梅の実の皮をむいていて、この香りどこか懐かしい匂いがして記憶を辿ってみると…祖母が毎年作っていた梅エキスの匂いであることを思いだしました。

梅の実を一個一個すりおろしてコトコト土鍋で煮込み黒光りするまで煮詰めます。あんなに山のようにあった梅の実からほんのちょっぴりしかできないのですがこれが腹痛や夏バテなどに効果があるのです。

梅エキスの成分は煮詰めることによって普通の梅には存在していない成分(ムメフラール)ができます。この成分は血流を改善する効果があるそうです。

小さい頃お腹が痛いと言うと、決まって梅エキスにお砂糖をたっぷりまぶしたスプーン一匙を含まされるのですが、これが厭で腹痛を我慢したりしていました。「酸っぱ苦さ」が凝縮した味とでも表現したらいいでしょうか。しかしそれを我慢して食べると不思議と治るので、大きくなってからは自ら「梅エキスちょうだいね」と戸棚から出して食べていました。先人の知恵ですね。

祖母は、伯母や母6人の子供を育てあげた昔の主婦で、その季節毎の手作りをきちんとこなしていました。

梅エキスも梅雨時の今頃つくっていたのですね。梅の実をすりおろす姿は覚えているのですが、祖母から手伝ってと言われたことは一度もなかったです。

12月になると新巻鮭が田舎から何匹も送られてきてつるしてありました。鮭を出刃包丁でブツブツ切って切り身のおすそ分けをもらいました。脂が乗って美味しかったけれども鮭の鱗がついていて実に食べにくかった。祖母の娘である母は鮭の皮まで食べる人ですが私はその鱗の食べにくさの思い出からか今でもあまり好んでは食べません。

鮭のトバの部分でしょうか、お正月には昆布巻きにして食べさせてくれていました。昆布も鮭も骨まで柔らかく煮えていて本当においしかったです。

お正月には親戚一同が集い臼と杵で餅をつき手際良く返すのは祖母の役目でした。また蓬の季節になると土手で蓬をとってくるのはわたしの役目で、たまに蓬でない草が混じっていてこれは違うと教えてくれました。今でも道端の草を見ると蓬だなあと摘みたくなります。

私の梅ジャムにも水あめやお砂糖をたっぷり入れたのに酸っぱくて、でも添加物のない自家製の安心感と、そして祖母の手作りの1年を懐かしく思い出しているところです。来年は梅エキス作りに挑戦してみます。sol(6月27日)