メキシコの看護婦さん

昨年、メキシコ市で病気になった母が24時間在宅看護でお世話になったイルマアンヘレスというメキシコ人看護婦の二人は、とてもきめ細かな温かい看護を通して母とそして私自身が励まされ学ぶことが多い時を共に過ごしました。

薬の飲ませ方、介護の仕方、病人を抱える家族のあり方、そしてキリスト教の教えまで、とにかく幅広い知識と技術で、彼女達はカトリコですから慈悲深さに於いてはそれはもう無限の愛をもって接してくれました。

ABC病院からの24時間派遣でお金を隔ててはいるものの、それ以上の彼女達の愛情があったから母の快復も早かったかと思い、心から感謝しています。

メキシコの看護婦さんたちは優秀な人材も多く輩出していて、そのほとんどがお給料のよいアメリカへ流れていってしまうという事実があることをメキシコ市で聞きました。

お給料はメキシコでの数十倍で、おまけにメキシコ人が喉から手が出るほど欲しいと言うアメリカの永住権、夫やその家族を養っていける家屋、手当てまでもアメリカ政府は出しているとの事です。

優秀な看護婦さんが減ってゆくのが目に見えて、少しでも留まってくれたらいいのに。。。とメキシコ人ドクトルたちは、手立てもなく寂しそうに言っていました。

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そういえば一昨年日本でメキシコのイベントにメキシコ民芸品店として出店していたところ18歳前後かと思われる若者の男性グループに

「白いHuesoの彫刻のアクセサリーを探しているけどある?」

とスペイン語で聞かれ(わたしはHuesoはあまり好まないので)ここの店には置いていないよ、ところで何処から来たの?と聞きましたら厚木基地から来たという。メキシコ人なのに?米軍エアフォースなんだねと返すと、自ら志願したと、本人達は誇らしげに言っていました。

メキシコでは、この事実(イラク戦争で米軍にメキシコ人兵が多くいること)を政府が黙認していてずい分後になってからテレビ映像で発覚し問題になったということです。

けれど看護婦さん流出の問題と同じく、メキシコだけでないでしょうけれど貧しい国の若者にとってアメリカの永住権や想像もつかないようなお給料を貰えるとなると国を捨ててでも行く人がでてきても仕方ないのでしょうかー。

命がどれだけの価値なのかわからない子供たち、親にとって子供は限りなくかけがえのない宝ものなのに、とても残念なことだと思います。

またそんな子供を持つ親たちも

「息子はアメリカに行っている」

と誇らしげに言ったりするところがメキシコ人の悲哀を感じる部分でもあります。

私が親だったら・・・もちろん反対します。

が、貧困やそんな状況下にあったら子供の希望通りに行かせてしまうかも、しれません。五体満足で帰還してくれることだけをひたすら祈る毎日でしょう。

イラク戦争では中立の立場をとっていたメキシコですがこういった「光と影」の現実を垣間見てしまったようなメキシコの旅でした。

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母の入院からちょうど1年。両親ともに元気をとり戻しつつありますがまだ時間はかかりそうです。メキシコ市でお世話になったみなさまには本当に心から感謝し、心より御礼申し上げます。

(2008年5月30日)