雪の日の思い出

関東地方でもようやく雪が降りました。先日メキシコから遊びに来ていたセニョリータのBちゃんが

「雪が見てみたい!」

と言っていましたが、滞在中見られたのでしょうか??

ポポカテペトルイスタシワトルなど雪を頂く5千メートル級の山々もあり、大きな地震もあるメキシコ。なのになぜか来日するメキシコ人は異口同音に降雪や地震が珍しいと言います。

今日はそんな雪の日の思い出話です。

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同じマンション3階に住んでいたKちゃんとKくんはメキシコ人のお母さんを持つ子たち。大学時代このセニョーラのお宅に、父とわたしは毎週火曜夜、子供達が寝静まったあと、コーヒーを飲みながらスペイン語を習いに行っていました。

スペイン語で

「元気ですか?あなたは?」

「何を飲みますか?カフェ、お茶どちらにしますか?」

「最近のあなたのニュースは?」

など毎回同じことの繰り返しで会話が始まります。

一時間ほど話した9時ごろでしょうか、わたしたちのスペイン語会話が一段落したころを見計らって子供達が起きてきて(寝たふりしていた?)それからさらに30分は遊び、そして再び就寝時間、お開きというのが常でした。スペイン語教室も子供との遊びも楽しみに、それはそれは可愛い二人に対し父は孫のように愛情込めて接していたように思います。

父のことを

「しまだく〜ん」

とフレンドリーに呼び

大学生のお姉さんだった私に

「てーちゃん、あ〜そぼ〜う!」

と呼んで誘いに来ていました。大人相手にでも子供は相手を見てよく遊びを思いつくものです、こちらのほうが子供のペースにのせられてそれはよく遊びましたね。

そんな小さな彼らも日本に来たばかりの時には

お母さんの後ろに隠れて出てこず、わたしがいくら愛想を振り撒いても私たちの前でも、そして幼稚園でも日本語もスペイン語も一切しゃべらないという日々が続いていたようです。

ある日、二子玉川へ買い物に行くことになりそのご一家の車でみなで出発しました。すると二子橋付近だったか途中雪が降り始め、それを見たKちゃんが

「じゅき、じゅき、じゅきだ〜」

と言ったのです。

スペイン語は「Y」を発音するときに人によって濁ることがあります、彼女は「ゆき」を「じゅき」と言ったのです。私はもう彼女の口から日本語が出たことに感動し只々嬉しくて涙が出たのを今でも覚えています。

それからは堰を切ったように話し始め、デパートでは商品名を読んでみたり知っている単語が次から次へと言葉が尽きることなく、帰り道も話し通しでした。

彼女は幼いながらも、自分が何をすべきなのか理解し、周りを見ながら話すチャンスをうかがっていたのですね。

家庭内では話していたのかもしれませんがご両親からは

「うちの子、言葉が遅くて・・・」

と言うようなことは一度も聞いたことがありませんでしたのでKちゃんが話すようになったときにはそれは安心し、けれど子を持つ親としてはさぞかし心配されていたことと思います。子供のことを信じて待った甲斐があったというものです。

わたしが母親になった今、

「うちの子、○○が苦手で・・・」

とつい口に出してしまったりすることもありますが、あの雪の日のことを思い出しては、子供が努力してもなかなか達成できない事に対しては親も共に辛抱することが大切であると感じている今日この頃です。

病気に対しても同様かと、思います。

口に出さずに辛抱してみる、長い目でみれば一年二年は人生のほんの一こまです。父の快復を気長に待とうと思いました。sol(2008年1月23日)

▼雪の中でも蝋梅の良い香り

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